対主要通貨でドルの軟調さが際立った1週間

先週は、対主要通貨でドルの軟調さが際立った1週間であった。
週初27日(月)は、米ムーディーズによるアングロ・アイリッシュ・バンク格下げ報道や、アイルランドとドイツの10年債利回り差が過去最大の431bptに拡大したことなどを要因にユーロの頭が押さえられ、総じて相場は動意に欠ける展開となった。
米指標であるダラス連銀製造業活動が予想を大きく下回ったことで、リスク回避の動きからドル/カナダが1.0293付近まで上昇をみせたのが唯一目立った動きとなった。

 

28日には、米国の追加金融緩和策実施の観測が強まり、対主要通貨でドルが下落圧力を強めた。
市場の注目を集めていた米9月消費者信頼感指数が48.5と市場予想(52.1)を下回ったこと、また同時に発表された米9月リッチモンド連銀製造業指数も−2と市場予想(6)を大きく下回ったことが要因となっている。

 

ユーロ/ドルは 1.3500付近の上値抵抗線を突破し1.3595付近まで上昇、豪ドル/ドルは0.9685付近まで上昇している。
また、期末要因から円高圧力が高まっているドル円も、83円70銭あたりまで下落することとなった。
そんな中、ポンドはBOE(英中央銀行)金融政策委員会のポーゼン委員が、英中銀は追加の量的緩和を開始すべきとの考えを示したことで対ドルでも上値が限られたものとなった。
29日も引続きドルは軟調気配となり、欧州問題やオプションバリアのためにやや頭の重さをみせるユーロも、対ドルで1.3645付近の高値をつけることとなった。

 

ドル円では、東京時間に中国人民元が 2005年7月の切り上げ以降の高値をつけたことなどを背景に83円台ミドルまで円高が進行した。
ここまで軟調推移が続いたドルであったが、30日になると一旦買戻しもみられた。
ユーロ/ドルでは、ECB(欧州中央銀行)による6日物オペが比較的低い金額で終わったことなどを要因に、米国指標前に 1.3682付近の高値に到達していたが、米4-6月期GDP確定値や9月シカゴ購買部協会景気指数が市場予想を上回る数字で発表されると、ここまで米国の追加緩和政策観測で売られていたドルを買戻す動きが見え始めた。

 

さらに、期末となるこの日は利益確定も出やすくなっていたようで、ロンドンFIXING前後かららユーロ、豪ドルなどこれまで堅調に推移してきた通貨が対円、対ドルで一気に売り込まれることとなった。
ユーロは対ドルで 1.3573付近まで下落後に反発、豪ドル/ドルでは0.9733付近から下落の勢いを強め、一時0.9623付近の安値をつけている。
期末リパトリ絡みで円買い圧力の強いドル円は83円15銭付近の安値まで到達した。

 

月が変わった1日は、再びドルが対主要通貨で下落をはじめた。
ダドリー NY連銀総裁が追加緩和策について、「雇用とインフレの双方が改善する方向で変化しない限り、一段の行動が正当化される公算が大きい」と述べたことが主な要因となっている。
加えて、米9月ISM製造業景気指数における雇用、生産、新規受注などの各項目が、弱い結果となったことがこれを後押ししている。
ユーロ/ドルは1.3780レベルで金曜のクローズを迎えることになっている。

 

材料と相場展望

今週は、経済指標を初めとするイベントが多く、相場もこの結果をふまえた動きになりそうだ。
まず、週前半に注目されるのは、4-5日に開催される日銀金融政策決定会合となる。
8月30日の臨時会合では追加緩和措置の効果を見極めることとしつつ、日銀声明では「先行きの動向を点検したうえで、必要なら適時適切な政策対応を行っていく」とし、さらなる追加金融緩和措置に前向きな姿勢を示している。
米国の追加金融緩和措置実施が予想されるいま、日銀もさらなる緩和措置の発表が必要になると思われる。
一部報道では、「貸出期間3-6カ月の長めの資金をさらに潤沢に供給することを軸に検討に入った」と伝えているが、緩和策が市場想定内の範囲であれば、市場の円売りは限定的となるのではないだろうか。
円売りの場合、84円台前半が目先の上値抵抗線になってきそうだ。
また、菅首相が4-5日の予定でアジア欧州会議(ASEM)首脳会議 (ブリュッセル)に出席することとなっており、欧州側から先日の介入に対する批判発言が出るかもしれない。
国内では1日から臨時国会が始まっており、菅首相は帰国後6-8日に衆参両院で代表質問を行う予定となっている。
なお、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議後の6日には、ユンケル・ユーログループ議長が温家宝中国首相、周小川中国人民銀行総裁と会談することになっている。
中国の為替操作に対し圧力をかける姿勢をみせると予想されているが、状況に大きな変化はなさそうである。

 

5日には、RBA(豪準備銀行)により政策金利が発表される。現在、市場では0.25%の利上げが見込まれているが、見送られるケースも十分あり得る。
見送られた場合は、発表後の声明内容に追加利上げの可能性が盛り込まれるかどうかに焦点が集まるが、いずれにしても相場に影響を与えそうである。
オーストラリアに関しては、政策金利に注目が集まっているときだけに7日発表の豪9月失業率にも注意が必要となってくる。
上値を目指す場合い豪ドル/ドルでは、 2008年の高値である0.98台ミドルに届くかがポイントであろう。

 

7日には、ECB(欧州中央銀行)とBOE(英中央銀行)による政策金利発表がある。
ECB理事会ではあらたな金融政策が発表される見込みは少ないが、理事会後のトリシェECB総裁による、最近の好調な欧州圏経済指標結果や欧州債務懸念についての発言に注目が集まりそうだ。
ユーロ/ドルも引続き上昇トレンドの継続が予想されるところであるが、相場は1.37台ミドルの重要なテクニカルラインに差し掛かっており、米雇用統計を控えた今週は、大きなサプライズがない限り慎重な相場展開になることも予想される。

 

一方、BOEも現状維持のスタンスに変化はないであろうが、先週のボーセン英中銀金融政策委員による、金融資産購入枠の拡大についての肯定的な見解が相場にかなりインパクトを与えており、市場ではこの点についてキング英中銀総裁の発言に注目するところとなっている。
ポンド/ドルの相場は方向感を失いつつあるが、下値では1.5700付近、上値では1.58台後半が当面意識されてきそうだ。

 

週末前8日金曜には、米国の9月雇用統計が発表される。
今週の相場はやはり、最終的にこの米雇用統計をにらんだ神経質な動きになると思われる。
9月雇用統計については市場予想では改善が見込まれているが、たとえ結果が予想通りであった場合でも相場つき次第ではポジション調整が出る可能性もあり、発表直後の相場急変動には注意が必要だ。ドル円ではここしばらく83円15銭付近が強力な支持線となってきたが、米雇用統計結果が弱いものとなればこのレベルを一気に下抜ける可能性があり、9月15日の介入前のレベルである82円85銭付近へのトライも想定しておく必要がある。

 

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